母娘で……… ― 2009/04/19 21:18
風邪が治ったかと思ったら、今度は腸の調子が……
(↑決してシャレではない)
だが、同じものを食べていたにも拘らず、唯一旦那だけはゲリルちゃんどころかツマルくん状態。
何故だらう………???
****************
☆本日の更新
「ラプンツェル~」第二話
(↑決してシャレではない)
だが、同じものを食べていたにも拘らず、唯一旦那だけはゲリルちゃんどころかツマルくん状態。
何故だらう………???
****************
☆本日の更新
「ラプンツェル~」第二話
ラプンツェルのお家事情 第二章 出会いと再会 第二話 ― 2009/04/19 22:02
「あの………」
「何だ?」
目まぐるしく変化する環境について行くだけで精一杯で、いまだに渡会先生と同居している現実を受け入れられない私。
しかし、今日は先生が今住んでいるマンションからここに引越しをするというので否が応でも実感させられた。
先生はご実家を離れてマンションに一人暮らしをしていたらしい。昨日一晩かけて、私のマンションに持ち込む荷物と、ご実家に送る荷物を分け、前者は先生の知人の方が、後者は引越し業者さんが運ぶとの事。
私も何か手伝う事は無いかと思いマンションをウロウロしているのだが、先生は「メシだけ作れ」としか言わなかった。
……どうせ非力だけどさ。掃除とか軽いものを運ぶとか、私でも手伝える事ってあると思うんだけどな…
「なぁ美堂」
仕方なく自分の部屋へと引き上げようかと思った時、突然先生に声をかけられた。
「なんでしょう?」
「お前、良かったら俺のマンションにあった鍋とか包丁とか使うか?」
先生のマンションに置いてあった包丁って………ドイツのヘンケルス社のヤツよね?鍋ってもしかしてティファール社のヤツの事かな…?
「え?い…いいんですか?」
「お前結構興味深そうにしてたしな…?」
「でも、あれって…」
「あ?」
「いえ。何でもないです」
「何だ?途中で切るな!気持わりー。それにこれから一緒に住むんだぞ?俺に言いてぇ事があるんなら溜めねーで全部吐き出せ!」
……何か警察署の取調室にいるような気分になるのは気のせいだろうか…
でもさ、あのシリーズを揃えているって事は彼女さんが料理が好きで調理器具にも拘りがあるって事だよね?
「……普通、一人暮らしで必要なのって、万能包丁1本だけだと思うんです」
「で?」
「でも、先生のマンションには刺身包丁や菜っ切り包丁、そして出刃包丁までありました。それって、わざわざあのシリーズを揃えたって事ですよね?」
先生の彼女さんが…という主語はあえて飲み込んだ。
すると、先生は顎に指をあてて何やら考え始め……
「……きのヤツ…」
「は?」
「いや。何でもねぇ」
先生、さっき言いたい事は全て吐き出せ…なんて言ったくせに、自分だって言葉を飲み込じゃったじゃない。
……何て反論は心の中だけにしておこう!
でもさ、先生、契約していたマンションを解約しちゃったみたいなんだけど、彼女さんにその事言ったのかな?
家庭事情で一人暮らししているクラスの生徒の親に一緒に住んでほしいと頼まれた……なんて理由でも、彼女さん納得してくれたのかな?
***************
ピンポーン
先生が手を離せない状態だった為、私が玄関に行くと…
「……こんにちは」
「え?あ…はい、こんにちは」
先生!こんな小さい子供に引越しの手伝いさせるなんて酷いと思うっ!!
私がドアを開けるとそこに立っていたのは私より若干身長が低い男の子だったのだ。
大きな瞳のその美少年は、楢崎兄弟を小さくしたような男の子で私の顔を見上げてニコニコ笑っていた。
「一聖(イッセイ)、玲人は?」
「代わりにこのお姉ちゃんが出てきた」
「あら、おかしいわね…手伝って欲しいって言われたから来たのに…って!ごめんなさい。ねぇ、貴方もしかして美堂さん?」
男の子の後からひょこっと顔を覗かせたのはとびっきり綺麗なママさんだった。
…なるほど、この美少年くんは美人ママに似たのね…
名前を言われて、慌てて返事をする。
「はい。あの…」
「ごめんなさいね。私、す…いえ、渡会 希恵(キエ)。玲人の姉です。この子は息子の一聖。小学1年なの。ほら、一聖、挨拶は?」
「はじめまして。イッセイです」
「宜しくね。私は姫歌。あの…先生は今ちょっと手が離せないようなんですけど、とりあえず上がって下さい」
私はそう言うと、スリッパを出して親子を先生の部屋に案内した。
それを皮切りに次々と来訪したのは先生の知人友人?…という方々。
保健の東郷先生は元々渡会先生の高校時代のクラスメイトと聞いていたから予想していたんだけど、その彼女さんまで来られるとは思わなかったのだ。
「あたし、橘 陽華。秀学館の2年なんだ。よろしくね?」
「美堂 姫歌です」
アレ?この人ってどこかで見た事があるような……
「くす……美堂さん、ここだけの話にして欲しいのですが、実は彼女はモデルをやってるんですよ。TGブランドって知ってますか?」
「勿論ですよ!!超有名ブランドじゃないですかっ!!」
女子高校生なら知らない人はいないであろうTGブランド!
昨年TGグループが立ち上げた個人ブランドなのだが、デザイナーが何でも創設者の知人とか…。
アレ?確かTGブランドの創設者って総帥さんの家族か親戚って噂があったような……。
それってさ?もしかして…もしかする?
「恐らく貴方のヨミって当たってるかもよ?」
「へ?」
「あたし、TGブランドの専属モデルやってるの。勿論隣にいる男の陰謀でね?」
「くす…陰謀は酷いですね」
あのブランドの専属モデルかぁ……。どうりで見た覚えがあると思った!!
……同世代の女の子なら必ず憧れるというM.chiakiの服。専門雑誌とHPだけでしかお目にかかれないソレを見事に着こなしていたのは、確かに今あたしの目の前にいて微笑んでいるこの女性だ。
間近で見ると夢みたいに綺麗!!顔は勿論だけど、背もスラっと高いし、手や脚がもの凄く長い。それに、腰の位置が高いなぁ~。全て恵まれたパーツってこの人の事を言うんだろう……
専属モデル『ルナ』。まるで月から来た『かぐや姫』みたいに現実離れしたルックスの持ち主で日本中の女子高校生のアイドル的存在……
「それじゃ……えっと…橘さんって『ルナ』なんですか?」
「ふふふ……実物見て幻滅した?」
「いいえ!!とんでもないですっ!!寧ろそんな有名人があたしなんかと知合いになって貰えるなんて夢みたいです!!実はあたし、C-kidsの服を一着だけ持ってるんです。
……あの、M,chiakiじゃあ着れないから…」
……そうなのだ。身長が150未満のあたしに着れるのは子供サイズの服だけ。
値段がちょっと高かったけど、誕生日祝いと高校の入学祝いにと義父母から買って貰ったのだ。
そんなあたしの告白を聞いた橘さんは、顔をぱぁ~っと輝かせて…
がばっ…!
「姫ちゃんって可愛いっ!!」
「へ?ちょ…あのっ…///////」
「ふふ……恋人として妬けますね」
……暫くの間、橘さんはあたしをその豊満な胸に押し付けたまま放してくれなかったのだった。
*******************
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、お邪魔します」
次に来たのは先生と同じくらいの背格好の男性。
おそらく普段着だと思うんだけど、メンズブランドの男性モデルみたいな服装と体格をしている。
「おう!愁、待ってたぞ。美堂、紹介するわ。こいつは五十嵐 愁。俺の元クラスメイトで今は私立聖藍学園の理事長補佐やってんだよ」
「正確には理事長補佐兼ピアノ科講師だけどね」
聖藍って……私が家の事情さえなければ入りたいと思って密かに憧れていた音楽専門学校じゃない!しかもそこの理事長補佐…って…
「あらら…玲人、彼女固まってるぞ?」
「そのうち溶けるさ。愁、とりあえずこっち来てくれ。お前にしか出来ねー事があんだよ」
「はいはい。相変わらず人使い荒いな…」
先生の交友関係って東郷先生といい、この男の人といい、かなりゴージャスだよね…
もしかして渡会先生もセレブなのかな?だからあんな高そうなマンションに住めて、車に乗って、しかも調理器具までしっかりと有名メーカーで揃えて…なんて事が出来るのかな…
私が突っ立ったまま考え事をしていたら、最後の客の訪れをチャイムが知らせてきた。
「美堂、俺が出る」
「あ、はい」
「お前はそろそろ休憩をいれるからお茶の用意してくれ」
先生にそう言われてキッチンに行こうとしたら…
「げっ………何であんたがいるんだよ…」
「冷たいなぁ…仮にも義兄だろ?心配すんなヘマしないから」
「ったく、仕方ねーな……って!おい!何でコイツまで…」
「……陸さま…いえ、東郷さんにお誘い受け…まして」
「って事だ。親父もお前の引越しを手伝うってさ」
「……好きにしろ」
思いっきり顔を引き攣らせている先生の目の前には、ねぐせがついたボサボサ頭で黒縁眼鏡をかけて上下のジャージとスニーカーを履いた若い男性と、長袖シャツにチノパンツ姿のロマンスグレーなおじさんが立っていたのだった。
*********************
「ええ~?コレ全部姫ちゃんが作ったのっ!」
「わぁ~綺麗!それに美味しそ~」
昼食の準備を手伝うと言って先生のお姉さんと橘さんがキッチンに来た。
私は大勢でもワイワイ食べられるようにと手巻き寿司にしたんだけど…
「すみません、海苔を準備して貰っていいですか?」
「OK~!切るだけならお任せぇ~」
了解というジェスチャーと共に缶の中から焼き海苔を取り出したのは先生のお姉さん。
「姫ちゃぁ~ん、あたしは?」
「それじゃ小皿を人数分お願い出来ますか?」
「りょうかぁ~い!それにしても凄い沢山作ったんだねぇ…」
鮪の赤身と中トロの細切り、烏賊刺し、チーズとハムの細切り、先生の好物の引き割り納豆、海老、厚焼き玉子、カンピョウ、やまごぼうの味噌漬、天麩羅、胡瓜、桜デンブ、炒りゴマとアボガドはカリフォルニアロール用に、干ししいたけと、一応サラダ菜なんかも用意したし、サラダ用にツナやカニ蒲鉾、たくあんにシバ漬け、梅カツオなんかも作った。
あとイクラととびっこは特別ね。
お醤油を取りに来た陽華さんに、100均でかった醤油さしを渡し、お吸い物の仕上げに取り掛かる。
そこへ…
「あの、ボクにも何か手伝うコトありますか?」
キッチンに一聖くんがやってきてあの大きなお目目で私の顔を見上げた。
……うわっ!やばいくらいに可愛いよっ!
「ん…とね、それじゃ味見お願い出来るかな?」
「はい!」
私はそう言うと鍋から少量だけ小皿に取り、フーフー息を吹きかけ冷ましてから一聖くんに渡した。
彼はそれを受け取ってごくん…と飲み…
「どうかな?」
「オイシイです!ボク、おつゆをこんなにオイシク思ったのハジメテです!」
ぱぁ~~っと明るい表情でそう言う一聖くん!
あ~~ん!今すぐぎゅうぎゅうしたいくらい可愛いよぉ~っ!
抱きしめたい思いを堪えて頭をナデナデしてあげると、子供独自のサラサラで柔らかい髪の感触が伝わってきた。
「何だ?」
目まぐるしく変化する環境について行くだけで精一杯で、いまだに渡会先生と同居している現実を受け入れられない私。
しかし、今日は先生が今住んでいるマンションからここに引越しをするというので否が応でも実感させられた。
先生はご実家を離れてマンションに一人暮らしをしていたらしい。昨日一晩かけて、私のマンションに持ち込む荷物と、ご実家に送る荷物を分け、前者は先生の知人の方が、後者は引越し業者さんが運ぶとの事。
私も何か手伝う事は無いかと思いマンションをウロウロしているのだが、先生は「メシだけ作れ」としか言わなかった。
……どうせ非力だけどさ。掃除とか軽いものを運ぶとか、私でも手伝える事ってあると思うんだけどな…
「なぁ美堂」
仕方なく自分の部屋へと引き上げようかと思った時、突然先生に声をかけられた。
「なんでしょう?」
「お前、良かったら俺のマンションにあった鍋とか包丁とか使うか?」
先生のマンションに置いてあった包丁って………ドイツのヘンケルス社のヤツよね?鍋ってもしかしてティファール社のヤツの事かな…?
「え?い…いいんですか?」
「お前結構興味深そうにしてたしな…?」
「でも、あれって…」
「あ?」
「いえ。何でもないです」
「何だ?途中で切るな!気持わりー。それにこれから一緒に住むんだぞ?俺に言いてぇ事があるんなら溜めねーで全部吐き出せ!」
……何か警察署の取調室にいるような気分になるのは気のせいだろうか…
でもさ、あのシリーズを揃えているって事は彼女さんが料理が好きで調理器具にも拘りがあるって事だよね?
「……普通、一人暮らしで必要なのって、万能包丁1本だけだと思うんです」
「で?」
「でも、先生のマンションには刺身包丁や菜っ切り包丁、そして出刃包丁までありました。それって、わざわざあのシリーズを揃えたって事ですよね?」
先生の彼女さんが…という主語はあえて飲み込んだ。
すると、先生は顎に指をあてて何やら考え始め……
「……きのヤツ…」
「は?」
「いや。何でもねぇ」
先生、さっき言いたい事は全て吐き出せ…なんて言ったくせに、自分だって言葉を飲み込じゃったじゃない。
……何て反論は心の中だけにしておこう!
でもさ、先生、契約していたマンションを解約しちゃったみたいなんだけど、彼女さんにその事言ったのかな?
家庭事情で一人暮らししているクラスの生徒の親に一緒に住んでほしいと頼まれた……なんて理由でも、彼女さん納得してくれたのかな?
***************
ピンポーン
先生が手を離せない状態だった為、私が玄関に行くと…
「……こんにちは」
「え?あ…はい、こんにちは」
先生!こんな小さい子供に引越しの手伝いさせるなんて酷いと思うっ!!
私がドアを開けるとそこに立っていたのは私より若干身長が低い男の子だったのだ。
大きな瞳のその美少年は、楢崎兄弟を小さくしたような男の子で私の顔を見上げてニコニコ笑っていた。
「一聖(イッセイ)、玲人は?」
「代わりにこのお姉ちゃんが出てきた」
「あら、おかしいわね…手伝って欲しいって言われたから来たのに…って!ごめんなさい。ねぇ、貴方もしかして美堂さん?」
男の子の後からひょこっと顔を覗かせたのはとびっきり綺麗なママさんだった。
…なるほど、この美少年くんは美人ママに似たのね…
名前を言われて、慌てて返事をする。
「はい。あの…」
「ごめんなさいね。私、す…いえ、渡会 希恵(キエ)。玲人の姉です。この子は息子の一聖。小学1年なの。ほら、一聖、挨拶は?」
「はじめまして。イッセイです」
「宜しくね。私は姫歌。あの…先生は今ちょっと手が離せないようなんですけど、とりあえず上がって下さい」
私はそう言うと、スリッパを出して親子を先生の部屋に案内した。
それを皮切りに次々と来訪したのは先生の知人友人?…という方々。
保健の東郷先生は元々渡会先生の高校時代のクラスメイトと聞いていたから予想していたんだけど、その彼女さんまで来られるとは思わなかったのだ。
「あたし、橘 陽華。秀学館の2年なんだ。よろしくね?」
「美堂 姫歌です」
アレ?この人ってどこかで見た事があるような……
「くす……美堂さん、ここだけの話にして欲しいのですが、実は彼女はモデルをやってるんですよ。TGブランドって知ってますか?」
「勿論ですよ!!超有名ブランドじゃないですかっ!!」
女子高校生なら知らない人はいないであろうTGブランド!
昨年TGグループが立ち上げた個人ブランドなのだが、デザイナーが何でも創設者の知人とか…。
アレ?確かTGブランドの創設者って総帥さんの家族か親戚って噂があったような……。
それってさ?もしかして…もしかする?
「恐らく貴方のヨミって当たってるかもよ?」
「へ?」
「あたし、TGブランドの専属モデルやってるの。勿論隣にいる男の陰謀でね?」
「くす…陰謀は酷いですね」
あのブランドの専属モデルかぁ……。どうりで見た覚えがあると思った!!
……同世代の女の子なら必ず憧れるというM.chiakiの服。専門雑誌とHPだけでしかお目にかかれないソレを見事に着こなしていたのは、確かに今あたしの目の前にいて微笑んでいるこの女性だ。
間近で見ると夢みたいに綺麗!!顔は勿論だけど、背もスラっと高いし、手や脚がもの凄く長い。それに、腰の位置が高いなぁ~。全て恵まれたパーツってこの人の事を言うんだろう……
専属モデル『ルナ』。まるで月から来た『かぐや姫』みたいに現実離れしたルックスの持ち主で日本中の女子高校生のアイドル的存在……
「それじゃ……えっと…橘さんって『ルナ』なんですか?」
「ふふふ……実物見て幻滅した?」
「いいえ!!とんでもないですっ!!寧ろそんな有名人があたしなんかと知合いになって貰えるなんて夢みたいです!!実はあたし、C-kidsの服を一着だけ持ってるんです。
……あの、M,chiakiじゃあ着れないから…」
……そうなのだ。身長が150未満のあたしに着れるのは子供サイズの服だけ。
値段がちょっと高かったけど、誕生日祝いと高校の入学祝いにと義父母から買って貰ったのだ。
そんなあたしの告白を聞いた橘さんは、顔をぱぁ~っと輝かせて…
がばっ…!
「姫ちゃんって可愛いっ!!」
「へ?ちょ…あのっ…///////」
「ふふ……恋人として妬けますね」
……暫くの間、橘さんはあたしをその豊満な胸に押し付けたまま放してくれなかったのだった。
*******************
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、お邪魔します」
次に来たのは先生と同じくらいの背格好の男性。
おそらく普段着だと思うんだけど、メンズブランドの男性モデルみたいな服装と体格をしている。
「おう!愁、待ってたぞ。美堂、紹介するわ。こいつは五十嵐 愁。俺の元クラスメイトで今は私立聖藍学園の理事長補佐やってんだよ」
「正確には理事長補佐兼ピアノ科講師だけどね」
聖藍って……私が家の事情さえなければ入りたいと思って密かに憧れていた音楽専門学校じゃない!しかもそこの理事長補佐…って…
「あらら…玲人、彼女固まってるぞ?」
「そのうち溶けるさ。愁、とりあえずこっち来てくれ。お前にしか出来ねー事があんだよ」
「はいはい。相変わらず人使い荒いな…」
先生の交友関係って東郷先生といい、この男の人といい、かなりゴージャスだよね…
もしかして渡会先生もセレブなのかな?だからあんな高そうなマンションに住めて、車に乗って、しかも調理器具までしっかりと有名メーカーで揃えて…なんて事が出来るのかな…
私が突っ立ったまま考え事をしていたら、最後の客の訪れをチャイムが知らせてきた。
「美堂、俺が出る」
「あ、はい」
「お前はそろそろ休憩をいれるからお茶の用意してくれ」
先生にそう言われてキッチンに行こうとしたら…
「げっ………何であんたがいるんだよ…」
「冷たいなぁ…仮にも義兄だろ?心配すんなヘマしないから」
「ったく、仕方ねーな……って!おい!何でコイツまで…」
「……陸さま…いえ、東郷さんにお誘い受け…まして」
「って事だ。親父もお前の引越しを手伝うってさ」
「……好きにしろ」
思いっきり顔を引き攣らせている先生の目の前には、ねぐせがついたボサボサ頭で黒縁眼鏡をかけて上下のジャージとスニーカーを履いた若い男性と、長袖シャツにチノパンツ姿のロマンスグレーなおじさんが立っていたのだった。
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「ええ~?コレ全部姫ちゃんが作ったのっ!」
「わぁ~綺麗!それに美味しそ~」
昼食の準備を手伝うと言って先生のお姉さんと橘さんがキッチンに来た。
私は大勢でもワイワイ食べられるようにと手巻き寿司にしたんだけど…
「すみません、海苔を準備して貰っていいですか?」
「OK~!切るだけならお任せぇ~」
了解というジェスチャーと共に缶の中から焼き海苔を取り出したのは先生のお姉さん。
「姫ちゃぁ~ん、あたしは?」
「それじゃ小皿を人数分お願い出来ますか?」
「りょうかぁ~い!それにしても凄い沢山作ったんだねぇ…」
鮪の赤身と中トロの細切り、烏賊刺し、チーズとハムの細切り、先生の好物の引き割り納豆、海老、厚焼き玉子、カンピョウ、やまごぼうの味噌漬、天麩羅、胡瓜、桜デンブ、炒りゴマとアボガドはカリフォルニアロール用に、干ししいたけと、一応サラダ菜なんかも用意したし、サラダ用にツナやカニ蒲鉾、たくあんにシバ漬け、梅カツオなんかも作った。
あとイクラととびっこは特別ね。
お醤油を取りに来た陽華さんに、100均でかった醤油さしを渡し、お吸い物の仕上げに取り掛かる。
そこへ…
「あの、ボクにも何か手伝うコトありますか?」
キッチンに一聖くんがやってきてあの大きなお目目で私の顔を見上げた。
……うわっ!やばいくらいに可愛いよっ!
「ん…とね、それじゃ味見お願い出来るかな?」
「はい!」
私はそう言うと鍋から少量だけ小皿に取り、フーフー息を吹きかけ冷ましてから一聖くんに渡した。
彼はそれを受け取ってごくん…と飲み…
「どうかな?」
「オイシイです!ボク、おつゆをこんなにオイシク思ったのハジメテです!」
ぱぁ~~っと明るい表情でそう言う一聖くん!
あ~~ん!今すぐぎゅうぎゅうしたいくらい可愛いよぉ~っ!
抱きしめたい思いを堪えて頭をナデナデしてあげると、子供独自のサラサラで柔らかい髪の感触が伝わってきた。
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