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ついに完成!!2009/04/05 11:16

………ついに…ついにこの時が来た!!
脳内に響くは『ツァラストラはかく語りき(2001年宇宙の旅のテーマソング)』である。

思えば長かった!!

ボビンに上手く糸が巻かれずに無駄になった糸数メートル。
見え辛い針穴に危なっかしい手つきで糸を通し人差し指にミシン針を突き刺した事数回。
ミシンの調子が悪かったのか、生地のど真ん中でミシンが止まり、その都度最初から縫い直した為、生地に開けられた穴は無数である。
弁当敷きとコップ袋はアイロンとの二刀流(?)で作った為、何箇所か火傷をした……

家庭科の課題ではない……という事だけを自分に言い聞かせ、見た目より耐久性!何より優先すべきはいかに頑丈かという事だ!…と、殆んど呪の如くぶつぶつ呟きながら制作に取り掛かった数日間。

……てな訳で完成写真をUPしちゃいます!!
創作内容は以下のとおりです。

・タオルにつけた紐
・用品入れ
・シューズケース
・座布団(防災頭巾)入れ
・タオル入れ
・コップ袋
・弁当敷き

秋頃にはスモックが必要になるのだが、それは………手芸屋さんに相談しよう…(汗)

*******************

「白衣の天然貴公子」を本日更新します。
そろそろ主人公(ヒロイン)の秘密が出てきますが、これで少しはFTらしくなりますでしょうか……。

白衣の天然貴公子 第一話2009/04/05 13:31

「楠さん…………」
「何でしょう?」
「あの…この数字はゼロが少々たりないのでは?あとあれも…」
「いいえ!全部合ってます!!」
「ですが…」
「あのな?ここに置いてあるモンは全て100円なんだよっ!!だから百円均一ショップ…略して百均!!」

只今の時間夜の23時。翡翠は今いかにも場違いな服装をした男と一緒に24時間営業の100円均一ショップにいる。
というのも、あの後水輝が翡翠に質問した内容が「ヒャッキンって何ですか?」だった為、口で説明するより連れて来た方が早いとばかりに就業後の彼を誘ったのだ。
しかし、彼女は今大変後悔している。

…普通こんなところに来る奴がブランド物のダブルのスーツや、いかにも米国で買いましたと言わんばかりの革靴とカバンを持ってる訳ねえよなぁ…

そう。今店内の女性の視線は全て自分の隣の男に向けられているのだ。
服装もさる事ながら、165cmの自分より遙かに高い身長に、細身の体躯。サラサラの長めのショートヘアーに、切れ長の瞳。長い睫毛に通った鼻梁と少し薄めの唇。

…最初会った時も思ったけど、このセンセってば本当に綺麗な顔してんのな。睫毛なげぇ~っ!肌なんかつるっつるで色も白~い!へたなモデルより美人さんなんじゃ…

水輝の横顔を見つつそんな事を考えていた翡翠。しかし、彼女の視線を感じた水輝はきょとんとした表情で翡翠の方に振り向いた。

「???どうしました?」
「い…いえ、何でも。そっ…それより、これで『ヒャッキン』がご理解頂けたと思いますからもうお帰り下さって結構です…よ?」
「くす…楠さんは何か買われるんですか?」
「え…えっと…ファンデ…けっ…化粧品とあと子供達にスケッチブックと新しいクレヨンを買って帰ろうかなぁ…って…」
「ほう…そんなモノまであるんですか。なかなか品物が豊富なんですね…。」

…金持ちってのは好奇心旺盛なのか?これ以上目立ちたくないからさっさと退散しろよっ!!

内心毒づきながら上目遣いでそうっと見上げると…

「!!!!!!!」

後に見えるのは日輪か?ならば彼は差し詰め菩薩像とでもいうのであろうか?まさに神々しいばかりの女神スマイルがそこにあったのだ。

「是非僕も御供させて頂けませんか?いや、挨拶も兼ねて子供達へは僕からプレゼントしましょう。うん。それが良い!」
「へ?いや…あの…」
「大丈夫。カード以外にもちゃんと現金はある程度持ち歩く事にしてますので」
「まぁ、確かにここでカードは使えないけど…って!そう言う意味じゃなくて…!!」
「(にーーーーーーーっこり)それじゃ行きましょうか?」

反論しようとする翡翠を笑顔で無理矢理(?)捻じ伏せて水輝は彼女に案内を促したのだった。

************************

病院には似つかわしくない黒服男を目の当たりにし、固まる子供達。
そして室内に所狭しと置かれたダンボール箱の数々を口を開けた状態のまま黙って眺めている。

「おはようみんな」
「「「「「ひすいねぇちゃん!!」」」」」

翡翠がそれぞれのカルテを持って入って来ると、ベッドから飛び降りた子供達が彼女の腰周りに抱きついた。

「????お前らどうした?」
「しらないおじちゃんが…!」
「めがさめたらここにいて…」
「ねぇ、だれ?あのおじちゃんだれ?」
「びょういんのかんけいしゃ?」
「このはこはなんなの?」

翡翠の顔を見上げながら口々に質問してくる子供達。不安そうな瞳の彼等の頭をよしよしとなでると、翡翠は病室にいる男達の一人に向かって声をかけた。

「どなたでしょうか?まだ面会時間にはなってませんが?」

子供達を自分の背に隠すようにし、キッと睨んで質問する翡翠。その時…

ガラッ

「すみません。僕がお願いしたんです」
「「水輝様」」
「乾先生!」

白衣姿の水輝が首に聴診器を下げて入ってきたのだ。

「ああ、君たちはもう帰っていいよ。ここまでごくろうだったね」
「いえ。では我々はこれで…」
「失礼致します」

黒服サングラス男二人は水輝に頭を下げると病室から出て行った。

「くす……びっくりさせて悪かったね?これは僕から君たちへのプレゼントだよ。お近づきのしるし…って言うのかな?
勿論、ここにいる楠さんも一緒に選んだから気に入ってもらえると思うんだけど…」

黒服達を見送った水輝はくるりと振り返ると長身を折り曲げるようにして屈み、ニコニコしながら子供達に話しかけた。
そんな担当医に毒気を抜かれたのか、一人のいかにもやんちゃ坊主…な男児がおずおずと話しかける。

「プレゼント…って、アレか?」
「うん」
「いっ…今あけてもいいか?」
「どうぞ?でもすぐ後に朝の検温があるから仕舞ってね?」

男児の頭をなでなでしながら優しく話す水輝。男児は思わず隣に立っている翡翠に目で訴える。

「いいよ太一くん」
「ほんと?翡翠ねーちゃん?」
「ああ。但し遊ぶのは朝食後だぞ?」
「おい!みんな!翡翠ねーちゃんのキョカがおりたぞっ!!」
「「「「わぁ~いっ!!!」」」」

太一の言葉を合図に箱に群がる子供達。
テープをバリバリ剥がして中の物を嬉しそうに取り出す様子を見て翡翠は顔を綻ばせた。
すると…

「楠さんは子供好きなんですね…」
「へ?」
「嬉しそうだから」

何時の間にか立ち上がった水輝が翡翠に話しかけてきた。
突然耳元でささやかれた低めのテノールに、ぎょっとして隣を見上げると……

「//////………っ!!!///////」

二度目の女神スマイルを直視した翡翠は子供に話しかけられるまで固まっていたのだった。

な…なんかこいつがいると調子が狂う!!……この男、今のあたしにとっては危険極まりない人物なのかもしれないな…

太一や将太に話しかけられて石化が解けた翡翠は、隣にいてニコニコ笑っているこの若き小児科医にそんな印象を抱いたのだった。

白衣の天然貴公子 第二話2009/04/05 13:39

「ハックション!!」

スッ…

「うわっ!!珊瑚ぉ~、いくら花粉症の時期だからっていきなり現れるなよ…」

突然目の前に現れた妹を見てパジャマ姿の翡翠は驚いた。そんな彼女の目の前には同じくパジャマ姿で鼻をすすっている少女。そう。彼女の妹の珊瑚(さんご)17歳である。

「ごめん翠姉…うっく…ふぁっ…ふぁっ…ふぁっ…ハックション!!!」

スッ…

「…またどこかにワープしたな?あんなんで学校大丈夫なのか?」

翡翠は心配顔で妹が消えていった方向を見つめていた。
一方珊瑚は次姉の心配とは他所にキッチンにテレポートしており、早速朝食の準備をしていたのだ。
鍋に水を入れてコンロにかける。その間にスープの材料を切ってついでにサラダの材料を切る。
今日の朝食は洋風でコンソメスープとトーストにマーマレードを塗って、メインディッシュはプレーンオムレツにグリーンサラダだ。
三人分のオムレツが焼き上がった時、長女である藍晶(らんしょう)26歳が起きてきた。

「ふわぁ~。おはよさんちゃん。良い匂いね」
「おはよう藍姉」

彼女達の両親は仕事でアフリカに行っていたのだが、去年飛行機事故で亡くなった。
今彼女達が住んでいるこのマンションは言わば両親の形見といってもいい。家族で住めるように3LDKでロフト付きのセキュリティのしっかりしたマンションを購入した時は、長女の藍晶が既に留学先から帰国して働き始め、次女の翡翠は看護学校を卒業して病院勤務をしていた。故に二人の稼ぎがあったから買えたような物件だったと言えよう。

「ふぇっ…ふぇっ…」
「ストーーーーーーーーップ!!珊瑚、今くしゃみしたら学校に無事に行けなくなるぞ!」
「うっ…それは困る!」
「もぐもぐ…うん。このオムレツ美味しい~~っ!」

珊瑚特性のチーズオムレツを頬張りご満悦の長女。
すると彼女の歓声と同時にテーブルの上にある調味料がふよふよと浮き出したのだ。

「こら!興奮するな。これじゃドレッシングをかけらんねぇだろうがっ!!」
「藍姉さん、ドレッシングが浮いてるよ?」
「ごめぇ~んすいちゃん。ちょっと待ってて?今降ろすから」

そう言うと藍晶は箸を置き、両手を組んで祈るような姿勢を取り、目を閉じて集中し始めた。
元の位置に収まった調味料達を見て朝食を再開する翡翠と珊瑚。そんな妹たちを見て藍晶はペロっと舌を出す。

「はぁ~~(溜息)漸くコレでメシが食える…」
「そだね゛」
「へへ……なかなか制御出来なくて…」

実は彼女達にはある秘密があった。
長女の藍晶はサイコキノ(念動力保持者)で、次女の翡翠はテレパシスト(精神感応力保持者)、三女の珊瑚はテレポーター(瞬間移動能力保持者)なのだ。
母方の姓である月見里(やまなし)家では代々特殊能力が隔世遺伝しており、彼女達の祖母は同じ三姉妹であり、三姉妹と同様の力を持っていた。
そしてそれぞれの力を三つの宝石を身につけることで普段はセーブしていたという。
彼女達の名前の由来になっている三つの宝石を、彼女達の叔母…父親の妹…がたまたまジュエリーデザイナーをしており、それぞれブレスレット・ピアス・アンクレットに加工してくれたのだ。

「珊瑚、ごっそさん。アンクレット絶対忘れるなよ?それと、あまりひどかったらコレ飲みな。いつもの薬を薬局で処方して貰ったから」
「ぐすぐす…ありがと」
「どういたしまして。あ、今日あたし夜勤だから、戸締りしっかりとな?それと、この時期はなるべくアンクレットを外すなよ?」
「(チーン!)…わがっでま゛ず」
「ふふ…すいちゃん、さんちゃんの事がよっぽど心配なのね?」
「この時期は特にな?珊瑚は普段しっかりしてるから尚更心配なんだよ。ほら、姉さんも仕度しないと遅刻するぞ!」
「いっけなぁ~い!」

翡翠に急かされて藍晶もイスから立ち上がる。珊瑚はそんな二人の姉の様子を見ながらもう一度ティッシュで鼻をかんだ。

***************************

『……でね、ゴツンって頭ぶつけちゃったの』
『マジかよ。なぁ、あの先生ってもしかして天然なんか?』
『くすくす…自動ドアと勘違いしたって?』

翡翠が制服に着替えてスタッフルームに行くと、同僚達が談笑していた。

「はよ」
「あ!翡翠!ね、新しく小児病棟に来た乾先生ってどう?」
「どうって………変な金持ち?」

看護学校時代のクラスメイトで産科病棟担当の岩淵 彩音が興味深々と言った様子で聞いてきた。
翡翠はちょっと考えてから返答したのだが…

「やっぱり~~っ!」
「天然の上に変人ってか?」

同じく同僚で翡翠と同じ小児病棟担当の看護士である部田(とりた) 洋祐がくっくと笑いながらそう言った。
彼は翡翠や彩音と違い大学の看護学部を出ている為一つ年上にあたる。

「おいブタ!何その天然って」
「ブタじゃねぇっ!と・り・た!!」
「どっちでもいいじゃん。乾先生ってさ、普段ちょっとぽやぁ~っとしてるでしょ?さっきも話してたんだけど、昨日ね、小児病棟から産科病棟へ行く途中の渡り廊下でドアに激突していたの」

同じく同僚の笈川 芳乃がくすくす笑いながら説明し始めた。

「あとさ、あの先生背がやたらと高ぇから病室に入る時に頭ぶつけてたし?」
「あんたが小っこいんだろ?」
「俺はこれでも平均より高い方だっつーの!!」

確かに洋祐の身長は179cmなので同年齢の男性からしてみたら高い方に入るだろう。
しかし…

「ようちゃん仕様がないよ。だって乾先生外人並に背が高いし?それに小山内先生だって180cm以上あったじゃ…」
「彩音!!」

同僚の口からポロリと零れた翡翠のかつての恋人の名前を聞いて思わず怒鳴る芳乃。

「……いいよ芳乃。あたし、もう大丈夫だから。あ!あたしもう行くな?ほら、引継ぎとかあるし?……洋祐、夜勤お疲れさん。早く帰ってたっぷり寝ろよ?」
「あ…ああ」
「翡翠、ごめんね」
「いいって言ってんだろ?彩音」
「翡翠、無理…しないでね?あたし達いつでもアンタの愚痴くらい付き合ってあげれるから」
「サンキュー芳乃」

しゅんとしてしまった彩音の頭をやさしくポンと叩き、洋祐や芳乃に笑顔で応える翡翠。
芳乃はそんな彼女が去って行く後姿を見て溜息をついたのだった。